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iPS細胞由来の鼻スプレーで脳の老化に歯止め?中年マウスで記憶・認知機能の改善を確認

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米テキサスA&M大学の研究チームが学術誌「Journal of Extracellular Vesicles」に発表した論文によると、ヒトiPS細胞から作製した神経幹細胞由来の細胞外小胞(EV)を点鼻薬として投与することで、加齢に伴う脳内炎症を抑制し、中年マウスの記憶力や認知機能が改善されたという。論文タイトルには、海馬における炎症性ミクログリアの遺伝子発現や、NLRP3・cGAS-STINGというシグナル伝達経路の抑制が確認されたことが明記されており、「鼻から脳へ」というアプローチが加齢性認知機能低下への新たな介入手段として注目されている。

まず前提として整理しておくと、今回の研究はマウスを対象にした基礎研究段階の報告だ。ヒトへの応用には臨床試験を経る必要があり、「鼻スプレーで記憶力が回復する」という言い方は現時点では正確ではない。ただ、研究の設計そのものはなかなか興味深い。

注目したいのは「鼻腔投与(点鼻)」という経路の選択だ。脳は血液脳関門(BBB)と呼ばれる厳格なフィルター構造を持っており、経口・静脈投与では薬剤が脳に届きにくいことが一般に知られている。嗅神経を経由する鼻腔ルートはこのバリアを迂回できる経路として研究者の間で以前から注目されており、今回の研究はその実用可能性を後押しする事例として受け取れる。

もう一つのポイントが、iPS細胞由来の神経幹細胞から得た「細胞外小胞(EV)」を使っている点だ。細胞そのものではなく細胞が分泌する小胞を活用することで、拒絶反応や倫理的ハードルを下げられる可能性があるとされる。NLRP3やcGAS-STINGといった炎症シグナルの抑制が確認されているという論文の記述は、作用機序の解明にも一歩踏み込んでいることを示しており、「なぜ効くか」の説明がある分、再現性の検討がしやすい研究設計と言える。

【編集部補足】
認知機能低下や神経炎症の抑制を目指す研究は世界各地で進んでいるが、ヒト臨床試験への到達率は一般にきわめて低く、基礎研究の段階から「実用化まであと数年」と見積もるのは楽観が過ぎるという議論が業界では根強い。今回の報告も「中年マウスで有効性を確認」という段階であり、高齢マウス・霊長類・ヒトと段階を踏む必要がある。すぐに何かを買う・試すという話ではなく、「どういう仕組みで脳の老化に介入しようとしているか」の文脈理解として追いかける価値がある研究と言えるだろう。

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出典:iPS細胞由来の鼻スプレーで脳の老化に歯止め?中年マウスで記憶・認知機能の改善を確認

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