AI開発企業のAnthropicは2026年10月16日、AIモデル「Claude」が楕円曲線暗号規格「ECDSA」に関する25年以上の謎を解明したと発表しました。ECDSAは現在も広く使われているデジタル署名規格ですが、その策定時にNSA(米国家安全保障局)が説明なしに提供した特定の数値の起源が長年不明のままでした。Claudeがこの数値を解析した結果、1990年代に生成された乱数であることが判明したとのことです。NSAがバックドアを仕込んでいるのではないかという疑念が長年くすぶっていた問題に、AIが一定の答えを出した形です。
セキュリティ界隈では「NSAが説明なしに持ち込んだ定数は怪しい」という疑念が長年あり続けてきました。その代表格がDual_EC_DRBGという乱数生成アルゴリズムで、こちらは後にバックドアの存在が実質的に証明されています。ECDSAの定数についても同様の疑惑がついて回っていたわけで、「25年越しに謎が解けた」というのはセキュリティ史上、だいぶ重い話です。
今回注目したいのは、解明の手段がAIだったという点です。暗号規格の定数検証は、本来であれば数学者や暗号研究者が一次資料をしらみつぶしに当たる地道な作業です。それをClaudeが担ったことで、「AIは新しい知識を生み出すより、既存の情報を整理・推論するフェーズで実力を発揮する」という見方を補強する事例になりました。
【編集部補足】
もっとも、今回の「解明」をどこまで信頼するかは慎重に考える必要があります。原文の要約抜粋が限定的なため詳細は確認できていませんが、一般論として、AIによる歴史的文書の解釈は「それらしい推論」と「確定的な事実」の境界線が曖昧になりやすいという指摘が研究者の間にあります。Anthropic自身が発表しているという点では一定の信頼性がありますが、暗号規格の安全性評価という文脈では、独立した第三者による検証が出るまでは「有力な仮説が確認された」程度に受け取るのが穏当かもしれません。
ECDSAは現在も世界中のTLS通信やデジタル署名で現役の規格です。仮に定数の出自が乱数であることが確認されたとしても、それが「安全」を意味するわけではなく、「意図的な操作の痕跡がなかった」という消去法的な安心感にとどまります。規格の置き換えを急ぐ話にはならないものの、暗号アジリティ——つまり必要なときに別の暗号方式へ切り替えられる設計——の重要性を改めて意識させてくれるニュースではあります。
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で、出力傾向を自分の手で確かめてみるのも面白い切り口です。

