EUの行政執行機関である欧州委員会が、中国発のECサイト・Temuに対して2億ユーロ(約371億円)の制裁金を科すと発表しました。制裁の根拠として挙げられているのは、違法商品への対策が不十分であること、およびリスク評価が不適切であること。EUのデジタルサービス法(DSA)に基づく措置とみられ、巨大プラットフォームに課される規制の実行力を示す事例となっています。
今回の制裁で注目したいのは、「違法商品が流通した事実」だけでなく「リスク評価が不適切だった」という点も明示的に指摘されていることです。つまり欧州委員会は、問題商品の存在そのものに加えて、Temuがプラットフォームとして取るべき予防的プロセスを欠いていたと判断したわけです。これはプラットフォーム事業者に対して、「事後の対処」ではなく「事前のリスク管理体制」まで義務化しているDSAの思想を色濃く反映しています。
【編集部補足】一般論として、DSAはEU域内で一定規模以上のプラットフォームに対し、違法コンテンツ・違法商品のリスク評価と定期的な監査を義務付けていると言われています。「何か問題が起きたら削除する」という受け身の対応ではなく、「どのようなリスクが存在するかを能動的に評価し、報告せよ」というのが骨子で、この枠組みにおいてはリスク評価プロセスの不備そのものが制裁の対象になり得ます。Temuへの今回の指摘はまさにここに当たる可能性があります(原文情報が限定的なため、あくまで編集部の見立てです)。
日本にいるとTemuの問題はどこか「対岸の火事」に見えがちですが、同様のリスク管理義務を各国が立法化する流れは決して遠い話ではありません。安さを優先して利用するかどうかは個人の判断ですが、プラットフォームとしての信頼性評価という軸も並行して持っておくと、今後の判断材料になるはずです。
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